神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

さらばBIGBOX古書市のオヤジたち


かつて坪内祐三は『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』で次のように書いている。

高校一年の一九七四年のある日、私は、早稲田の古本屋で、懐しの『COM』と出会った。
(略)
あれは、その年、一九七四年の五月か六月のことだっただろうか。高田馬場のBIGBOXの一階のコンコースの所で第一回のBIGBOX古本市が開かれたのは(略)


向井透史『早稲田古本屋街』の「『早稲田古本屋街』年表」によれば、正しくは1974年9月4日〜7日に第一回BIGBOX古書感謝市が開催されている。
当時早稲田高校の一年生だった坪内祐三。来月最後になるというBIGBOXの古本市には必ず行くことであろう。私は、数回しか行けず、あまりいいお客ではなかった。せめて、私も最後の古書市には突撃することにしよう。

藤澤親雄と有島武郎


大沸次郎は「私の履歴書」(『私の履歴書 文化人2』)で一高時代(大正4年9月〜7年7月)のこととして

岸村は漱石を尊敬していて、どうした道をたどってか、有島武郎の麹町の家で、毎週、ホイットマンの詩を有島さんが読んでくれる会があるのに出ていたのに、私を誘って連れて行ってくれた。上級生の藤沢親雄のほか、いろいろの青年たちが集まっていた。今の法政大総長谷川徹三、東京高教授になりユウジン・オニールの脚本をいろいろ翻訳した清野暢一郎、慶応の制服を着た和田日出吉、芹沢光治良君の顔も見たように記憶する。草の葉会と名づけてあった。


と回想している。後にチェカ(秘密警察)並みに恐れられる藤澤親雄の若かりし日の意外な姿。でも、皇道主義者としての藤澤の方に心引かれるわしだす。


追記:九段下の「しょうけい館」で「武良茂(水木しげる)の人生」展の開催中(終了時期不明につき注意)。