起原と起源に違いはあるのか

『UP』6月号の瀬戸口烈司氏(古生物学者)「ダーウィンの著作は『種の起原』か『種の起源』か」が、面白かった。
昨年光文社から、"Origin of Species"の訳が『種の起源』として出版されたが、徳田御稔*1から「日本では丘浅次郎いらいの伝統で「種の起原」と表記するのが伝統だ」、と習った著者は奇異に感じたという。そこで、著者が過去の日本語訳を確認すると、15種類の訳書のうち14種類が、「種の起原」又は「種の起源」と表記し*2、うち13種類が「種の起原」(「種之起原」を含む)で、「種の起源」としているのは、1924年松平道夫訳で太陽堂から刊行された1種類だけだったという。東京開成館訳(丘浅治[ママ]郎訳文校訂)で1905年東京開成館から刊行された『種之起原』以来、松平訳を除き、『種の起原』で統一されていたことが確認されたわけである。ただ、不思議なことに、なぜか丘自身は『種之起原』の刊行以前は、『動物学雑誌』などで「種の起源」という表記を使用していたという。

起原と起源で意味が変わるわけではないだろうから、どちらでもいい話ではある。ただ、明治期における「起原」と「起源」の用例を集めないと、当時使い分けがあったのか、なかったのかわからないね。

*1:『初版「種の起原」−訳と解説』(三一書房、1959年)の編者。

*2:残る1種類は、1896年立花銑三郎訳で経済雑誌社から刊行された『生物始源一名種源論』。