
天神さんの古本まつり(10月9日~13日)が終了。100円均一コーナーは、小野山節、杉本尚次、島之夫や京都新聞編集局資料部の旧蔵書で賑やかでした。今回は、南部堂で買った国文学者高木市之助のアルバムを話題にしよう。古本好きの皆様には、『国文学五十年』(岩波新書、昭和42年1月)で知られている人ですね。
3,000円の値札には、「高木市之介[ママ]旧蔵?」とあって、買うには一抹の不安があった。しかし、南部堂は令和5年の天神さんの古本まつりの目録『萬巻』第37号に「国文学者高木市之助資料一括 130,000円」を出しているので、大丈夫だろうという読みもあって購入。アルバムを調べてみると、「高木市之助先生/牛原虚彦」と書かれた大きな袋が貼られていた。その中に高木と映画監督牛原が写った写真が入っていて、写真の裏には「牛原虚彦/謹写」とあった。牛原は高木の第五高等学校教授時代(大正4年9月~9年9月)の教え子だったと思われる。袋の中には、日本大学文学部教授兼法文学部教授だった昭和24年8月の美夫君志会における国文学講演会*1の写真なども入っていた。これで高木のアルバムと同定できる。
アルバムに貼られた写真の多くは、大正13年11月から15年3月まで文学研究法研究のためフランス、ドイツ、イギリス、アメリカへ留学を命じられた*2時の写真と思われる。詳しい分析はこれからで、今回は第1報としておこう。

大小2冊あるアルバムのうち、小さい方へ1番目に貼られた写真を挙げておこう。どこの写真かは不明である。これで連想するのは、高木がイギリス滞在中に訪問したワーズワース縁の地を回想した『湖畔:ワーズワスの詩蹟を訪ねて』(東京書院、昭和25年7月)である。ただし、同書にはダーウェント湖畔、水松の老幹、ワーズワースの墓など8葉が載るものの、アルバムに一致するものはなかった。中国やアメリカと推測できる写真は数枚あるが、そのほかは全く場所が特定できない。アルバムや写真の裏には書き込みはない。場所の特定は、至難の業のようだ。