神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

栗田英彦編『吉永進一セレクション第1巻』(国書刊行会)に「神保町系オタオタ日記」


 『吉永進一セレクション』全2巻(国書刊行会)が、昨年12月刊行された。第1巻『霊的近代の興隆:霊術・民間精神療法』は栗田英彦編、第2巻『洗脳・陰謀論・UFOカルト』は横山茂雄編である。故吉永進一の論文・インタビューがまとめて読める上に編者解説が出色の出来で、解説を先に読んでお腹一杯になっちゃった人もいるだろう。特に栗田君はこの解説で大いに名を挙げることになるだろう。吉永さんの奥様も喜んでおられるし、何よりも泉下の吉永さんがよっしゃと喜んでいることだろう。栗田君が解説を書きながら時に泣いていたんじゃないかなと思わさせられて、私ももらい泣きした。
 さて、栗田君の解説で2箇所私に言及していただいた。ありがとうございます。一つは、442頁で秀英社の社長にして心霊研究協会設立に参加した杉山義雄について拙ブログ「甘粕正彦と謎の心霊研究協会 - 神保町系オタオタ日記」の引用である。もう一つは、501頁で『ピラミッドの友』8号を貸したことへの謝辞である。
 思い起こせば、栗田君との初対面は、入院中の吉永さんから指示されて人文書院で発見された同社の前身である日本心霊学会関係史料を調査した時である。吉永さんに研究に協力してくれるかと言われて、お知恵を拝借かと思ったら、日本心霊学会・人文書院宛書簡群の撮影の手伝いであった。もっとも、研究の中間報告会に呼ばれたし、栗田英彦編『「日本心霊学会」研究:霊術団体から学術出版への道』(人文書院、令和4年10月)にも寄稿することになったので、確かに「研究に協力」であった。
 人文研での撮影作業は、平成28年2月だった。栗田君も来るので私が入手していた清水芳洲主宰の雑誌『精神統一』大正11年6月号*1のスキャンを頼むよう吉永さんから別途指示もあって、同誌を渡したのが初対面での出来事である。吉永さんは入院中なのに研究意欲の旺盛さには感心したことを覚えている。その日は栗田君と藤澤親雄やCBA(宇宙友好協会)の話をしたような気がする。周囲にはそういう話ができる人がいないので、とても楽しかった。あの時は院生、講師・助教クラスの若者に混じって、いい爺さんの私が撮影に四苦八苦していると、栗田君が見かねて助けてくれたっけ。改めて感謝を申し上げます。吉永さんから『精神統一』を渡してくれたかと旧Twitterで訊いてきた時の私のDM(ダイレクトメッセージ)による返事を挙げておこう。

 吉永さんは思い残すことは色々あっただろうが、栗田君という弟子を得た点で幸せだっただろう。今月31日が亡くなって3年目の命日ですね。あらためて御冥福をお祈りします。

*1:吉永さんは『精神統一』の合冊版を持っていたが、井村宏次氏に貸していたところ氏が亡くなって回収不能になったらしい。今どこにあるのだろうか。