
これを見るのを忘れていた。矢野隆司『今東光【全年譜】上』(今東光【全年譜】刊行事務局、令和6年3月)。22頁から24頁にかけて「今武平について」として武平の略歴や長男今東光が父母について書いた文章の紹介を書いている。その中で武平が残した英文日記として明治36・39年、大正12・14・15年、昭和3・4・6年分など*1を挙げている。この度天台院で発見された英文日記は欠けていた昭和5年分ということになる。吉永進一・岡本佳子・莊千慧編著『神智学とアジア:西からきた〈東洋〉』(青弓社、令和4年8月)の莊「年表 近代神智学運動とその時代(一八七五ー一九四五)」の参考文献に武平の英文日記が挙がっていないので、日本における神智学受容史の研究者が未見の史料なのだろう。
矢野氏による年譜から武平と神智学に関わる記述を引用しておこう。
大正3年11月5日 父・武平、「星の会」会員となる。
大正8年1月13日 父・武平が「霊知学会」会員となる。
同年11月 武平が「神智学協会東京ロッヂ」(大乗支部)を西片町の自宅に設立。1929年(昭和4)まで続く。
昭和3年5月16日 父・武平、クリシュナ・ムルティの教えを説く「ミロク・ロッヂ」をスタートさせる。
同年10月21日 武平、「幸福の国」(クリシュナ・ムルティ著)訳を西片町の自宅で完成。
また、東光の著作として大正13年12月「新らしい色相」(報知新聞)があって、第4回分から「(略)思想的に七花八裂の日本で将来、セオソフィストが指南車の方向を定める時に、クリシナ・モルテの預言が重大な素因を成すであらう」と引用されている。莊先生の年表に記載の無い事項を幾らか補足できる。
参考:「天台院で発見された今東光の「春聴文庫」と今武平?の英文日記 - 神保町系オタオタ日記」