神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

アントニン・レーモンド設計星商業学校新講堂の落成記念品附大売出しチラシ


 私の古本人生を簡単に図式化すると、次のとおりだろうか。
 文庫・新書→白っぽい単行本→黒っぽい単行本→雑誌・小冊子→紙もの(絵葉書、チラシなど)
 年を重ねると、蒐集対象がありきたりの本から人が持ってなさそうな冊子やチラシ類に移る。これは、古本人生の一つのパターンで私もそうだと同意してくれる人も多いだろう。今回紹介する「星商業学校新講堂落成記念品附大売出し」のような一枚物を買うようになると、古本人生も終わりに近づいたということになる。いや、古本人生というよりも、そろそろ人生自体が終わりそうなお年頃になっちゃいましたが(^◇^;)
 これは、みやこめっせの古本まつりで、玉城文庫から入手、550円。「日本の古本屋」に扶桑文庫が出品して売り切れている。いくらで出したのだろうか。記念品の合計が600万点とあるので、最低でも600万枚印刷した可能性がある。まだまだ残っているのだろう。「みんな大好き星製薬」の関連品ではあるが、平安蚤の市でも1,000円位だろうか。
 特約店の欄には、星製薬株式会社代理店伊藤星進堂の印が押されている。「沼隈郡浦崎(ナダ)」ともあるので、現在の広島県尾道市浦崎町灘に所在していたことが分かる。記念品引換券は、特約店で星製薬の製品を50銭以上買った客に対して、大正15年2月1日から4月5日まで配られた。当選番号の発表は、同月20日の新聞や特約店で行われた。同日の朝日新聞や読売新聞に掲載されたことは、確認できた。
 この星商業学校*1(現星薬科大学)の講堂は、アントニン・レーモンドの設計である。最近レーモンドが設計した旧赤星鉄馬*2邸(武蔵野市)が公開されて話題になったところである。

 チラシの「新講堂各室坪数概略」を見ると、4階が「活動写真室」になっている。私が見たレーモンド関係書には3階建とあったが、活動写真室なんていうのが上にあったのか。また、竣工は大正13年とされるが、落成記念品附きの大売出しを翌々年にやるというのもよく分からない。遅くとも翌年の大正14年中にやりそうなもので、不思議である。
追記:星製薬の社長星一は、大正13年5月台湾阿片令違反事件で逮捕され、同年11月罰金3千円の有罪判決を受け、控訴中であった(15年5月28日2審で無罪)。
参考:「星新一が『祖父・小金井良精の記』に書かなかったこと - 神保町系オタオタ日記