神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

菟道春千代のプチブームがキター⁉ーー菟道にも出てきたヨコジュンーー


 『近代出版研究』2号(近代出版研究所発行・皓星社発売)が来月発売されます。小林昌樹所長の人徳で豪華メンバーの力作が並ぶほか、京大UFO超心理研究会の先輩である横山茂雄先生へのロングインタビューも掲載されますので、よろしくお願いします。→「近代出版研究 第2号 | 皓星社(こうせいしゃ) 図書出版とデータベース
 私は、昨年の『近代出版研究』創刊号では「日記のすき間から掘り出す近代日本出版史」を寄稿した。そこでは、このブログで散々話題にした薄井秀一=北澤秀一とブログでは言及したことがない明治23年9月『雅人』(金港堂本店)を創刊した菟道春千代(うじ・はるちよ)を話題にした。後者の菟道が最近唱歌神道の研究者の間で話題になっているようだ。『近代出版研究』2号に「出版に託された“一つの神道”という夢」を執筆する木村悠之介氏のTwitter(@earthcolor369)によると、
・新谷恭明先生のブログ→「菟道春千代とは何者か(その1): 明日できることは今日するな
・木村・荻原稔「大成教禊教禊教新誌』『禊教会雑誌』『みそゝき』解題・目次」→「『國學院大學研究開発推進機構 日本文化研究所年報』第15号 – 國學院大學研究開発推進機構日本文化研究所
・?「神習教直轄宮比教会における芸能」(2023.2.18民族文化研究会東京地区第33回定例研究会)→「「神習教直轄宮比教会における芸能」民族文化研究会東京地区第33回定例研究会 - 「教派神道」研究会(仮)
で話題にされている。それぞれ私が言及していない側面の菟道に注目されていた。なお、最後の報告は参考文献として『雅人』1~16巻を挙げているが、17巻は明治新聞雑誌文庫が所蔵し、18巻は私が家蔵している。参考までに同巻の表紙・奥付を挙げておこう。目次はないので挙げられないが、26頁は「宮比教会記事」である。

 ところで、あらためて「グーグルブックス」で「菟道春千代」を検索すると、思わぬ情報が得られた。
 一つは、『早稲田大学史記要』31巻がヒットし、平成11年2月に「雨宮久美氏の依頼により菟道春千代研究のため、明治期の卒業生名簿の調査」をしたことがわかる。24年も前に菟道を調べていた研究者がいたんだ。
 そして、もう一つは横田順彌(ヨコジュン)の『明治不可思議堂』(筑摩書房、平成7年3月)である。同書の「アメリカ製福の神「ビリケン」」で、ヨコジュンは「日本人文士(?)の莵道春千代という人が、日本ビリケン社というのを設立して、ただちに日本製ビリケンさまの製造を開始した」と言及している。ヨコジュンは、かつて薄井について『明治時代は謎だらけ』(平凡社、平成14年2月)に「海にも出てきた薄井秀一」を書いた。これをもじって言えば、私は「菟道(うじ)にも出てきたヨコジュン」と叫びたいよ。