昨年刊行された南陀楼綾繁『古本マニア採集帖』(皓星社)の関連イベントとして、京都の古書善行堂で一箱古本市が開催されて、私も参加した。送料を惜しんでエッチラオッチラとリュックで運んだので、出品点数は少ないものだった。それでも2回追加したので、ある程度の量にはなった。割と好評だったようで、売れ残った本が少なく回収は楽であった。
文庫は100円、その他は最高でも4000円(『ソムニウム』全4冊揃い)と相場よりかなり安くしたので、喜んでいただけたと思う。あまり調べずに出してしまってから「売れないでくれ」と思っていた赤本漫画の花野みゆき『古城の鬼』(荒木書房、昭和22年8月)のような本も売れてしまった。
今回は、一箱に出すつもりだったがもうちょっと置いとくかと思った百田楓花『愛の鳥』(田中書店、明治44年1月)を紹介しよう。百田宗治の第一歌集である。文庫サイズ、カバー欠。「日本の古本屋」では、カバー付きだと11,000円~33,440円、カバー欠で5,500円になっている。面白いのは、奥付の裏に宇崎純一『スミカズ画集:妹の巻』(エミヤ書肆)の近刊広告が載っていることである。
更に見返しにカットがある。サインが「ユ」に見えるので、「ス」だったら宇崎純一なのに残念と思いつつ、『スミカズ画集』の広告が面白いのでとりあえず置いといた。
あらためて調べてみると、本書の末尾に「終りにこの小さい著書の出版に就て、友宮飼栄、宇崎純一、永岡勝成の諸氏の少なからぬ労を深謝する」とある。更に、国会図書館デジコレで『スミカズ画集』を見ると、明確に「ス」とあるサインの他に本書のような「ユ」に見えるサインもあった。
『愛の鳥』のカットは、スミカズのサインだったのだ。*1「日本の古本屋」で値段のチェックはしていたが、カバー欠で状態も悪いので500円か、文庫は一律100円にしたのでこれも100円で出していたかもしれない。アブナイ、アブナイ(^◇^;)
なお、背にもカットがあるほか、ネット上にはカバーの画像もあって、サインのあるカットが描かれているようだ。
参考:「宇崎純一が道頓堀の真昼を描いた絵葉書ーー山本不二男宛梅谷紫翠の絵葉書ーー - 神保町系オタオタ日記」