神保町系オタオタ日記

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鹿子木孟郎の妻鹿子木春子の日記(未公刊)に注目

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 存在が判明しているものの未公刊の日記については、「オタどんが死ぬまでに読みたい未公刊の日記群ーー堀一郎の日記はどうなった?ーー - 神保町系オタオタ日記」で言及したことがある。関西美術院第3代院長だった鹿子木孟郎の妻鹿子木春子の日記も、未公刊で気になるものである。この日記は、京都大学総合博物館で発見されたスウェン・ヘディンがチベットで描いた原画を関西美術院の画学生が模写した絵画の経緯を調べるために資料を管理している鹿子木良子氏から閲覧させてもらったものだという。
 ヘディンは明治41年来日した際に京大で講演し、チベットで画いたスケッチや水彩画の展示も行われた。日記によると鹿子木の自宅で模写作業が行われた旨の記述があるという。夫人の日記というのが面白い。画家本人は日記をつけていなかったのだろうか。いずれにしても未公刊の日記は検証もできないし、他の部分の記述も気になるので、翻刻・公刊していただきたいものである。
 なお、この模写は平成29年12月に京大百周年時計台記念館で展示され、講演会も開催された。研究の成果は、田中和子編・佐藤兼永撮影『探検家ヘディンと京都大学』(京都大学学術出版会、平成30年3月)として刊行されている。