神保町系オタオタ日記

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書砦・梁山泊京都店で見つけた岸田劉生旧蔵(だったらいいな)の梅原北明『明治性的珍聞史』上巻(文芸資料研究会、大正15年)

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 京都新聞4月20日京都国立近代美術館岸田劉生の作品42点を一括収蔵し、来年1月一般公開するとの記事が出ていた。初期の代表作《外套着たる自画像》や京都滞在時に描いた《舞妓図(舞妓里代之像)》など、各ジャンルを網羅し、創作全体を展望できるという。それで、「劉生蔵書」印の押された梅原北明編『明治性的珍聞史』上巻*1(文芸資料研究会、大正15年9月)を書砦・梁山泊京都店から入手していたことを思い出した。ただし、写真のとおり、画家の劉生にしては、パッとしない蔵書印で、落款の「劉生」の篆刻とも全然違う。国文学研究資料館の蔵書印データベースの「蔵書印DB詳細検索画面」で「全ての項目」をクリックして、「印主職種/時代」を選択して「画家」を入力して検索すると、275件ヒット。劉生は残念ながらいないものの、富岡鉄斎竹内栖鳳、鰭崎英朋、月岡芳年、久保田米斎、浅井忠、河鍋暁斎小村雪岱結城素明、橋口五葉、長谷川等伯などが出ているので面白い。
 本書の奥付には、先輩知己親友250名にのみ贈るとある。また、贈呈先として、法学博士、医学博士、精神病学者、法医学教授、文芸家、司法官、警察官、新聞記者、医師、弁護士、中等学校教諭等を挙げているが、画家は含まれていない。北明と劉生との関係も確認できない。
 劉生の蔵書は、『東京国立近代美術館所蔵品目録:岸田劉生作品と資料』(東京国立近代美術館、平成8年5月)に記載がある。それによると、宮武外骨編・発行の『変態知識』上(大正13年1月~6月の合冊)・下(同年7月~12月の合冊)や『明治奇聞』1篇,大正14年1月~6篇,15年6月を持っていた。同時期の北明の本も持っていてもおかしくはない。同美術館所蔵の本に蔵書印は押されているだろうか。
 なお、書砦・梁山泊京都店は、滋賀県比叡平へ移転すべく3月に閉店した。新店舗は5月中旬にはオープンするようなので、楽しみである。
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*1:中巻まで出たが、下巻は未刊