神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

近代日本における「占い師の饗宴」の研究を求めるーー『目黒占業者組合規約』に「占業者取締規則」(警視庁令)掲載ーー

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 またまた三密堂書店の100円均一台から、お宝本(?)をゲット。『目黒警察署管内目黒占業組合規約 附組合員名簿』(目黒占業組合)。発行年不明、7頁。占業者取締規則(警視庁令)が載っていて、驚いた。
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 霊術などを取り締まる「療術行為ニ関スル取締規則」(昭和5年警視庁令第43号)は知っていたが、占業が取り締まられていたとは、知らなかった。調べると、占業者取締規則は、大正10年4月30日制定であった。療術行為の取締より9年早い。第1条で、「占業者」を「他人ノ依頼ヲ受ケ易、人相、骨相、手相、九星、運勢其ノ他ノ占法ニ依リ将来ノ吉凶禍福ヲ判断スルコトヲ業トスル者」と定義。第2条で、占業者になろうとする者に開業3日前までに住所地の警察署へ届け出るよう義務付けている。規則制定の前にどのような立法事実があったのだろうか。
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 裏表紙の役員名簿も挙げておく。相談役の高島象山は知っているが、他は未知の人ばかりである。霊術家と占業者を兼ねる人もいそうだが、どうだっただろう。なお、組合員名簿には55人挙がっていて、手書きで4人追加されている。
 古代や現代の占いの研究はあるが、近代日本の占い師についての研究はあるだろうか。検索すると、博士論文の鈴木健太郎近代日本における占いとメディア - 東京大学文学部・大学院人文社会系研究科」があって、概要はネットで読めた。論文中に占業者の取締に関する記述があるかどうか。占い師についても、井村宏次先生の『霊術家の饗宴』のような研究書が期待されるところである。