神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

Go To 三密堂書店で能楽グラフ『金剛舞影』創刊号(金剛能楽堂、昭和7年)

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 戦前の雑誌が100円や200円だと、つい買いたくなってしまう。もっとも、何でもかんでもと言うわけではなく、文学・美術・宗教・民俗などある程度関心があるものに限っている。しかし、だいぶ前に三密堂書店から200円で買った能楽グラフ『金剛舞影』創刊号(金剛能楽堂昭和7年1月)は、関心分野でもないのに持っているのは、創刊号であること、グラフ誌ということで買ったのだろう。能楽にはまったく関心はなく、見たこともないので、宝(?)の持ち腐れである。京都に何年も住んでいるお陰で、金剛流という流派名はお馴染みではある。最近読んだ壽岳文章の文章(紛らわしい)に、「やたら創刊号を買う人がいるが、その雑誌を揃えようという人に迷惑だ」みたいなことが書いてあった。すみません、壽岳先生……
 戦前における個別のグラフ誌を研究している人は多いだろう。だが、腐るほど存在したグラフ誌の全体像を調べている人はいるだろうか。能楽の分野に限っても、『能楽画報』はよく知られているだろう。しかし、個別の流派のグラフ誌である本誌はどこの図書館にも無いので、おそらく知っている研究者はいないだろう。発行元の金剛能楽堂に残っているだろうか。目次を挙げておく。
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  口絵の「福の神」は、こんな感じ。
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  「編輯後記」によると、前年発行していた『金剛新聞』は内容が少し固す過ぎた上、リーフレットのため散じてしまうという非難があった。また、能の舞台から受ける感じをそのまま生かしたいとの注文もあり、新聞を廃刊して金剛巌を中心に本誌を発刊したという。Wikipediaによれば、巌は明治19年生まれで、後に24世金剛流宗家を嗣ぐ人物らしい。年6回発行の予定とあるが、どのくらい続いただろうか。
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