神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

古書鎌田から掘り出した岸田劉生画・伊上凡骨彫の『智慧』創刊号(慶應義塾幼稚舎内智慧の会、大正11年)

f:id:jyunku:20200726164840j:plain
 古書鎌田が東京へ移転してしまった。大阪古書会館や天神さんの古本まつりで会えないのが残念である。東京での御活躍を祈念しております。さて、一昨年の大阪古書会館「全大阪古書ブックフェア」で古書鎌田から見つけた『智慧』創刊号(智慧の会、大正11年4月)を紹介しよう。智慧の会は、慶應義塾幼稚舎内に設置された。目次は次のとおり。
f:id:jyunku:20200726164930j:plain
 驚いたことに、表紙が岸田劉生である。更に、ネットで読める八代修次「草土社の図画教育」『哲学』58(三田哲学会、平成元年6月)によると、彫りは伊上凡骨である。盛厚三『木版彫刻師伊上凡骨』(徳島県文化振興財団・徳島県立文学書道館、平成23年3月)にも、記載はない。奥付の頁に「5,000」の書き込みがあるが、確かにそれくらいの価値はあるだろう。
f:id:jyunku:20200726191251j:plain
 岸田の装幀は大正13年5月までで、昭和7年8月が終刊である。小林澄兄主任のもと刊行された学習機関雑誌で、菊池知勇が編集に当たった。
 なお、『蔵書印でたどる幼稚舎の歴史:展示会』(慶應義塾幼稚舎平成28年6月)も『智慧』の創刊に言及されていて、菊池は大正15年に日本で最初の綴り方雑誌を主宰発刊、更に児童観賞用として『佳い綴り方』も発行したという。
参考:「盛厚三『木版彫刻師 伊上凡骨』(ことのは文庫)刊行 - 神保町系オタオタ日記
f:id:jyunku:20200726164902j:plain