神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

京都外国語大学国際文化資料館で開催された宮武辰夫コレクション展

f:id:jyunku:20200628191341j:plain
京都新聞6月13日の「ミュージアムのちから コロナ禍に考える」10回(林屋祐子記者)は、京都外国語大学国際文化資料館であった。小原豊雲(1908-95)のコレクションと宮武辰夫(1892-1960)のコレクションを紹介。コレクションを引き取ることになった豊雲記念館の学芸員室を訪れた南博史国際文化資料館長の話が感動的。作品を守ってきた学芸員は亡くなったのだが、机や資料などすべてが仕事をしていた状態のまま残されていたという。室に入った瞬間のことが忘れられない南館長は「この情熱を損なわずに引き継がなければ」と、作品だけでなく、展示環境(展示ケースや解説文)ごと引き取った。
この国際文化資料館で2月17日から「宮武辰夫コレクション~『世界原始民藝図集』から~」が開催された。残念ながらコロナ騒動で3月28日までの会期の途中で中止となり、館長による公開講座も実施されなかった。私は幸い見ることができた。
展覧会は3部構成で、
第1部「宮武辰夫の歩み」
第2部「宮武辰夫の探検と収集資料」
第3部「『世界原始民藝図集』と調査の記録」
である。宮武の探検ルートの図や年譜もよくできていて、極めて充実した展覧会であった。「おわりに」のパネルに、「これらの資料の持っている本来の価値をもう一度引き出し、展覧会・公開講座という形で広く情報発信していきたいと思います」とあり、是非あらためて展覧会・公開講座を開催していただきたい。
参考:「原始藝術品蒐集者にして幼年美術研究者だった宮武辰夫のもう一つの顔 - 神保町系オタオタ日記」、「『田中恭吉日記』にひそめる宮武辰夫 - 神保町系オタオタ日記」、「軸原ヨウスケ・中村裕太『アウト・オブ・民藝』(誠光社)からアウト・オブされた原始藝術品蒐集家宮武辰夫 - 神保町系オタオタ日記
f:id:jyunku:20200628204046j:plain