神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

京都スターブックスで見つけた大正12年の『中外写真審報』に15歳の川島芳子

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今年のみやこめっせにおける春の古書大即売会(京都古書研究会)は、中止になった。開催されるのを楽しみに、廻る店の順番を脳内シミュレーションしていたのに、残念である。そこで、昨年同即売会で京都スターブックスから買った『中外写真審報』(中外写真審報社)を紹介しておこう。1巻4号~7号,大正12年5月~8月の4冊で3千円。やや高いかなあと思いつつ、特製バインダー付きだしと思い切って買ったが、所蔵する図書館もなく、「日本の古本屋」では魚山堂書店が創刊号~3号を22,400円で出しているので、安い買い物だったようだ。「グーグルブックス」で検索すると、酒井修一監修・アサヒグラフ編集『広告にみる国産カメラの歴史:昭和10-40年』(朝日新聞社、平成6年12月)に「オールグラビア版の月刊『中外写真審報』も、審報社から」という記載があるようだ。確かに、全頁が口絵や写真である。ただし、入手した分には、自社の「当社家庭写真撮影部設置」の広告があるだけで、カメラに限らず他の広告は一切ない。広告を一切取らなかった時期があるようだ。最初の2冊の編集・発行人は坂井幸吉、その後は青木作太郎、木村信行と続く。
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1巻5号の目次を挙げておく。
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「粛親王の一年祭」は、大正12年4月17日に開催された粛親王の一周忌に撮影された写真。後列右から2人目が川島芳子、その左が養父の川島浪速。既知の写真ではあろうが、満15歳の芳子を見られて嬉しい。軍服を着た男装の麗人として知られるが、この頃は普通の女の子ですね。その後、何か!あって断髪することになる。
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同号の目次には省略されているが、「大阪天彩画塾彫塑祭」も載っている。松原三五郎が大阪市阿倍野区松崎町に創設した画塾で、大正14年まであったようだ。芸術家たちの仮装行列
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1巻4号には、「シヤバの「水浴者」」。知らない画家だが、Wikipediaにポール・シヤバとして立項されていて、女性のヌードを得意としたフランスの画家らしく、この絵は『夕暮れ時』のタイトルでカラー写真も見られる。印象は全然違うが、是非見られたい。
明治期のグラフ誌については、私も「明治期のグラフ誌の発行部数 - 神保町系オタオタ日記」で言及したことがある。大正期のグラフ誌については研究があるだろうか。研究者も「画報」や「グラフ」で検索しているだけでは、まず「審報」には到達できないね。豆に古本市に通わねばいけない。