『安部磯雄日記ーー青春篇ーー』(同志社大学同志社社史資料センター、平成21年2月)に安部の洋行日記が収録されていて、高楠順次郞が出てくる、
(明治廿七年)
第七月
廿二日
(略)
「オックスホード」には二人の日本人あり、高楠順次郞及び南岩倉某氏なり。屢余等を導き、大学校を参観せしむ。或時は運動場に於いて「テニス」を遊び、或時は「テームス」河にて舟遊を試みたり。
高楠は明治23年から30年にかけてオックスフォード大学等に私費留学をしていた。南岩倉某は南岩倉具威で、『幕末明治海外渡航者総覧』第2巻によると、23年から28年まで宮内省付けで同大学に公費留学をしていた。帰国後は、内務大臣秘書官等を経て、帝国議会議員や枢密顧問官となる。南岩倉は学習院出身なので、テニスが似合いそうだ。一方、高楠とテニスというのはイメージが合わないが、どうだろう。
タイトルは、古本仲間である中島俊郎先生の『オックスフォード古書修行 書物が語るイギリス文化史』(NTT出版、平成23年9月)からお借りしました。古本市が次々と中止になっているので、先生にお会いできるのはいつになることやら。