神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

文庫櫂から入手したまど・みちおの稗田菫平宛葉書

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文庫櫂で入手した稗田菫平宛葉書については、「昭森社の森谷均人生最後の年賀状 - 神保町系オタオタ日記」などで紹介した。稗田旧蔵品は金沢文圃閣が大量に持っているようなので、同社が買い取りをして一部を市会に出し、それが文庫櫂に渡ったのかもしれない。今回紹介するのは、まど・みちおの葉書である。
昭和52年5月17日消印で、文面は「ご高著詩集ご上梓おめでとうございます」、「低血圧症でまとまった本の読めない小生ですが、とても楽しく拝誦」云々とある。文藝別冊『まど・みちお 「ぞうさん」の詩人』(河出書房新社、平成12年11月)の年譜(伊藤英治編)によれば、前年に『植物のうた』(銀河社)で日本児童文学者協会賞、『まど・みちお詩集』全6巻でサンケイ児童出版文化賞、『ぞうさん』で赤い鳥文学賞特別賞(<国土社の詩の本>全20巻が受賞)を受賞している。
文中の「ご高著」は、『稗田菫平詩集』(宝文館出版、昭和52年5月)と思われる。また、「低血圧症で」とあるが、「「孔子廟」の擬音語」『『白秋全集』32巻月報』昭和62年3月によると、

私は生まれつきの低血圧でまとまった本が読めません。若い日に一方的に師ときめて仰ぎ見ていた白秋の童謡さえろくに読んでいません。(略)が、例外的に覚えている白秋童謡が二篇あります。(略)昭和十年一月号の「コドモノクニ」に発表された「鶯張り」と、同じく三月号に発表された「孔子廟」です。

まどと稗田の関係は不明。まどの葉書は他に手書きの絵が書かれたものもあったが、この1枚だけ購入。500円だったか。