神保町系オタオタ日記

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高山樗牛ゆかりの龍華寺で近代仏教史講演会「仏教と学知」

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鈴木繁三『わが郷土清水』(昭和37年5月初版・54年8月7版)という戸田書店が発行した本がある。「はしがき」に「中学生でも楽に読める程度」とあるが、私は小学生の時に初めて読んだと思う。ボロボロになるまで読んだが、今手元にあるのは綺麗な本である。昭和54年の重版だから、大学生か社会人になってから懐かしさに再び買ったのだろう。発行した思い出の駅前銀座の戸田書店静岡市に本店を作り、清水の本店は閉めてしまった。そもそも清水市自体が静岡市と合併して、独立の市ではなくなった。合併して良かったのか、悪かったのかは、とっくに清水の住民でなくなった私には分からない……
さて、同書は清水の美しい2つの庭園を紹介している。1つは清見寺、もう1つは龍華寺である。龍華寺は日蓮宗の寺で、庭園は日本平から駿河湾を隔てて富士山を望む天下の絶景を縮図したもの。ソテツは1100年以上を経た最古最大のもので、天然記念物だという。また、高山樗牛の胸像と「吾人は須らく現代を超越せざるべからず」の墓石が置かれているとある*1。中学生の時、自転車で清水の名所旧跡を廻ったことがあって、龍華寺のソテツは覚えているが、樗牛には興味が無かったのか像や墓の記憶はない。
最近『萬象録 高橋箒庵日記』巻5(思文閣出版、昭和63年10月)を読んだが、そこにも龍華寺が出てきた。

(大正六年)
一月九日
(略)山岡鉄舟建立の鉄舟寺あり、其門前より左折して二、三丁行きたる右手に同じく高丘に倚りて建ちたるは即ち龍華寺にて、老松二本門内に聳え最も景勝の地を占めたる寺院なり。石段を登りて本堂の庭に出づれば有名なる蘇鉄あり、一本の幹に五十八枝ありて広袤十八間を蔽ひ全国無比の大樹なりと云ふ、此他に大蘇鉄数株あり、又覇王樹の大なる者をも見受けしが、当地は気候温暖にして斯かる植物に適応する処なりと云ふ。扨て此庭前より富士を見るは他に比類なき壮観なりとは予て評判に聞き居りしが、右に三保の松原、左に清見寺を控へ、海原と松原を越して清水港の正面に富士山を望むの光景真に絶勝と云ふべし。(略)

この高山樗牛縁の龍華寺で今月21日(土)13時~16時にイベントがあるようだ。

近代仏教史講演会「仏教と学知」

碧海寿広(武蔵野大学准教授)「日本の仏教と科学」
大谷栄一(佛教大学教授)「『日蓮研究は愉快なる一事業にこれあり候』ーー高山樗牛日蓮主義ーー」
司会 大澤絢子(大谷大学真宗総合研究所PD)

偶然かどうか3人とも最近単著を出されている。碧海先生の本は持っているので、写真をあげた。地元の人はもちろん、東京からでも2時間半ぐらいかな、観光がてら皆様行ってみましょう。info※ryugeji.jp(※を@に)まで事前連絡を。

日蓮主義とはなんだったのか 近代日本の思想水脈

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親鸞「六つの顔」はなぜ生まれたのか (筑摩選書)

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*1:『わが郷土清水』では、なぜか清見寺としている。