神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

古本万歳万々歳、『支那征伐万歳節』(壮年倶楽部、明治27年)を掘り出す

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最近激戦区となっている大阪古書会館たにまち月いち古書即売会の古本横丁和本300円コーナー。数ヶ月前にそこで見つけた翠葉散史『支那征伐万歳節』(壮年倶楽部、明治27年8月)、6頁。表紙に発兌元として壮年倶楽部、裏表紙に「大日本書籍行商社出版書目」の広告があり、本書の書名も挙がっている。壮年倶楽部と大日本書籍行商社は実態としては同一と思われる。国会デジコレで見られる鉄甲将軍『金鵄勲章:一名・連戦連勝血汐の花』(明治27年10月)は壮年倶楽部発行、横江鉄窓『痛快節・時事警鐘』(明治27年4月)は同住所の大日本書籍行商社発兌である。どう使い分けていたのだろうか。
本書は「発禁になったオッペケペー節ーー永嶺重敏『オッペケペー節と明治』(文春新書)を読んでーー - 神保町系オタオタ日記」で言及したオッペケペー節と関係あるかと思って買ったが、直接は関係なかった。「東学党」「京城小戦」「王妃の涙」「豊島大海戦其一」「豊島[大]海戦其二」「松崎大尉 安城川の討死」「成歓塁」の7曲が収録されている。「凡て歌尾に帝国万歳万々歳を付して唱ひ玉へ」とあるので、帝国万歳節とも言うべき歌である。ちなみに、永嶺重敏オッペケペー節と明治』(文春新書、平成30年1月)に、

日清戦争中には、現存するだけでも二〇〇点以上にのぼるおびただしい数の音曲集が出版されているが、それらのほとんどは既存の流行歌の替え歌である。従来からの流行歌がさまざまな替え歌に作り替えられて、清兵の弱さを笑い、日本兵の勇敢さを称賛し、祝勝をことほぐ歌として再利用されている。使われた流行歌もさまざまで、都々逸や「かっぽれ」「大津絵節」から「トコトンヤレ節」「ホーカイ節」「縁かいな節」まで古今の流行歌が総動員されている。
そして、その中でも「オッペケペー節」は最も多く替え歌が作られた歌のひとつである。(略)

とある。本書も明治27年日清戦争開戦後発行された「二〇〇点以上にのぼるおびただしい数の音曲集」に含まれることになる。
なお、タイトルのルビがアレなので伏せました。