神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

昭和8年東大仏文科卒業生らが作った同人雑誌『港』

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昨年のあちゅーい下鴨納涼古本まつりの竹岡書店3冊500円コーナーで戦前の同人雑誌2冊を発見。『港』創刊号(鈴木健郎、昭和8年6月)と10号(発行所三田書房・事務所港社、昭和11年2月)である。前者は定価30銭、後者は10銭。後者の表紙には「LE PORT」とある。創刊号(56頁)の目次は、

雪消 秋山晴夫
電話 鈴木健
雨 露木皎
船出 林三郎
噴泉 池正路
霧の港 堀光之助
絵遊びと「春の雪」 郡山千冬

林と池のが詩で、他は小説である。創刊の辞や編集後記はないが、同人名として上記のほか、黒住真雄の名がある。同人のうち、秋山は昭和8年3月東京帝国大学文学部仏蘭西文学科卒で中央大学名誉教授。詳しくはWikipedia参照。林、堀、黒住も同年同科卒である。鈴木は6年3月同科卒。佐藤正路という人が8年同科卒だが、池正路と同一人物か。郡山は同年3月美学美術史学科卒。露木は不詳。10号では同人は9年仏蘭西文学科卒業生などを含め20人に増え、発行人は秋山に変わっている。8年同科卒業生には「秘められたフランス時代の岡本太郎」で言及した丸山熊雄もいるが同人には参加していない。貴重な雑誌なのか、「日本の古本屋」ではあきつ書店が2号から10号のうち6冊で34560円付けている。