神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

文庫櫂の『雑書目録』第1号

日本橋の文庫櫂から昔の古書目録をいただきました。『雑書目録』第1号、最初で多分最後の古書目録らしい。発行年が書いておらず、店主にも分からないらしい。がむしゃらに頑張ってきたようで、そもそも開業年も20年位前とはっきりしない*1。目録中最も新しい本は18年前の平成12年発行である。「初めての古書目録」とか「品揃えもままならぬうちに見切り発車」とあるので、20年位前の開店後間もなく発行したのだろう。
分類は、書物関係・書物関連雑誌、句集、歌集、詩集、文学、幻想文学・海外文学他、時代小説・推理探偵小説・少年少女小説・大衆小説他、文学雑誌他、風俗・軟派・趣味他、追加雑載で計1985点掲載されている。今の文庫櫂なら詩集か発禁本をトップに持ってくるだろう。
最も高額なのは川端康成『乙女の港』(昭和13年)函付、中原淳一挿絵、初版美本、33万円。すぐ売れただろうか。その他、小栗虫太郎『犯罪心理小説白蟻』(昭和10年)『紅殻駱駝の秘密』(昭和11年)がそれぞれ22万円、24万円。黄瀛の詩集を扱ったことがあると聞いていたが、確かに『詩集瑞枝』(ボン書店、昭和9年)が15万円で挙がっている。
かつて反町茂雄は一流の古書店になるには古書目録の発行が殆ど不可欠の条件と喝破した。ネット全盛時代で紙の目録の発行店は随分減ってしまったと思うが、やはり古書店には目録の発行をできるだけお願いしたいものである。

*1:全国古本屋地図’96改訂新版』には出ていない。