神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

日蓮上人研究会旧蔵の『妙宗』7編7号(師子王文庫、明治37年9月)

最近行ってないが、去年尚学堂で上記を掘り出した。500円。明治期発行の雑誌で、主筆が田中智學、蔵書印も面白そうなので買ってみた。肝心の蔵書印だが、「日蓮□□研究會之印」としか読めなかったが、twitterで御教示を得て、「日蓮上人研究會之印」と判明。答えを聞くと、「なーんだ」ということになるが、自力で印文を解読するのは難しいものである。ありがとうございました。なお、この印のほか、「田中」「□書」という印も押されている。
日蓮上人研究会」は、グーグルブックスで、大谷栄一『近代日本の日蓮主義運動』(法蔵館、平成13年2月)がヒット。これによると、明治34年田中により創唱された「日蓮主義」は、42年の本多日生の天晴会(1月)と立正安国会の機関誌『日蓮主義』の創刊(5月)を契機として、1910年代(明治末年)以降普及していった。そして、山川智応は『日蓮主義』創刊号の「日蓮主義研究の現況一班(一)」で、村上浪六の小説『日蓮』(明治41年)などの著作、京都府立医学専門学校内日蓮上人研究会、京都府立商業高校内日蓮上人研究会、岡山高等学校内日蓮上人研究会、早稲田大学日蓮主義研究会、松山養生会、天晴会などの諸団体の活動を紹介しているという。『妙宗』の旧蔵者である日蓮上人研究会が、京都府立医学専門学校内の研究会か*1京都府立商業高校の研究会か、はたまた全然別の研究会か特定するのは困難だ。しかし、面白いのは研究会の蔵書印という点だ。印影数3万2千を誇る「蔵書印データベース」で検索しても、印文に「研究会」を含むものは皆無のようで、今後同種の蔵書印に出会う機会があるかどうか。

近代日本の日蓮主義運動

近代日本の日蓮主義運動

*1:本号の「安心通話」に京都医学専門学校の楽外生の「如何に致候はゞ日蓮上人門下の學生としての本領を盡され可申哉」との質問に対する担当記者の回答が掲載されている。