神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

お雇い英語教師リネルとヘリヤの経歴(続報)

わすの昔の蔵書目録については「オタどんの蔵書目録」で紹介したことがある。今目録の「お雇外国人」の所を見ると、130冊ほど持っていたようだ。しかし、あらかた書砦梁山泊に売ってしまい、ほとんど手元に残っていない。もちろん全部は読んでいないのだが、何を見れば土佐藩でお雇い英語教師をしたというリネルやヘリヤのことがわかるかという感度は残っていたようだ。図書館で『お雇い外国人』14巻(鹿島出版会、昭和51年1月)の「明治文化関係欧米人名録」を見ると、リネルとヘリヤの生年(アラビア数字)、国籍、在日年代(漢数字)、職務が出てました。

レーネル Reynell,Harold E. 1850- 英 一八六九- 高知、英語教師
ヘリヤー Hellier,Thomas 英 一八七一- 高知県英学教師

リネルの生年が1850年とある。小島威彦はリネルについて父守気(1853年生)より5歳年上と書いていたが、若干違っていたようだ。英語教師になったのはヘリヤ兄弟の兄の方かと思っていたが、弟の方であった。また、リネルとヘリヤは土佐藩(高知藩)には同時に雇用されたと思っていたが、ヘリヤが後から採用されたと思われる。
より詳しい経歴は、ユネスコアジア文化研究センター編『資料御雇外国人』(小学館、昭和50年5月)の「お雇い外国人名鑑」から要約すると、

レーネル Reynell, Harold E.
[国籍]英
[雇主雇期間]
高知県(4年5月より1年。英学助教師)、文部省(5年5月1日-6年5月25日、満期解雇。高知県出張教諭)、大阪英語学校(9年10月31日雇満期、雇継9月11月1日-10年7月31日。英学教諭)、三井国産方代理高橋英祐(10年8月1日-11年7月21日、11年8月1日-12年2月28日、12月4月22日解雇通知。茶事業)

ヘリヤー Hellyer,Thomas W.
[年齢]明治5年当時25歳*1
[国籍]英
[雇主期間]
高知県(3年4月より3月、5年2月24日-6年4月15日。英学教師)
文部省(5年2月24日-6年5月11日、満期解雇。高知県出張)
高知県属士族・金子家吉、深尾蕃条(6年8月20日より3年。商業)
三菱会社(9年10月より無期限。会社代理)

こちらではヘリヤの方が先に雇われたことになっている。資料によって雇入れの時期が異なるが、リネル、ヘリヤ共に土佐藩(高知藩)に英語の教師・助教師として雇われたことが確認できた。また、リネルについては、大阪英語学校にも勤めていたことが判明した。
更に堀田暁生・西口忠共編『大阪川口居留地の研究』(思文閣、平成7年2月)の「大阪在住外国人名簿」によると、リネルの住所は泉町、職場は大阪英語学校(明治7年ー9年)、居留地13番を8年12月12日取得。リネルは神戸居留地だけでなく、大阪川口居留地にも足跡を残していた。

大阪川口居留地の研究

大阪川口居留地の研究

*1:兄のフレデリック・ヘリヤが1849年生まれとされていることと合わない。