神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

後藤静香が創設した希望社の社会教化事業要目(大正14年1月現在)

後藤静香の希望社の機関誌『希望』8巻1号、大正14年1月をシルヴァン書房から400円で入手。集めるつもりは全然ないが、どんな雑誌だったのか見本に一冊確保。大正14年1月現在の「希望社社会教化事業要目」が載っていたので、紹介。

(著述及び出版)
月刊『希望』の発行
月刊『のぞみ』の発行
月刊『泉の花』の発行
月刊『かゞやき』の発行
時々『通信講話』発行
修養書籍類の発行
点字修養書の発行
星花印刷部の経営
印刷業者の養成
(直接・教育的施設)
勤労女学校の経営
労務者研修会の経営
盲人中等夜学会の経営
点字巡回教授
修養寄宿舎の経営
処女会幹部講習会の開催
訓練講習会の開催
女工手世話係の養成
講演会活動写真会の開催
(間接・教育的施設)
地方女教師の宿泊
女子修学旅行団の宿泊
国民教育者子女の優遇
東京女学生の保護善導
修養書の無料貸出
善行者精勤女学生表彰
実力検定試験の施行
南朝史蹟の保護
アイヌ幼稚園の経営
(救護及び慰問)
労務者宿泊所経営
長期に亙る病者慰問
らい病患者の慰問
盲人慰安会開催
高齢者の慰問
西蛮児童の慰問
社会教化事業の応接
其の他突発的救護事業

社会的弱者を網羅したような事業内容であるが、「南朝史蹟の保護」のような異質なものも混じっている。ここにはまだあがっていないが、『日本エスペラント運動人名事典』(ひつじ書房、平成25年10月)によると、後藤は後の昭和5年3月にはエスペラントの雑誌も発行することになる。女性の登用に積極的だったようで、「希望社各主任一覧」によると、本部の13部のうちの文書部、表彰部、宿泊部、教務部、保護部、慰問部の6部*1と32の地方部府県主任のうち25人が女性と思われる。
「希望社印刷業者養成所第一回修了生」には大正13年10月印刷科5人、製本科2人、製版科1名に修了証書を授与し、1名が独立開業し、その他は希望社員に採用したとある。また、教育をした村田豊吉への謝辞が述べられているが、『希望』の奥付に印刷者としてある東京市京橋区の大倉印刷所の代表者である。印刷業者養成所が廃止されるまでに何人が修了し、印刷・製本・製版業界にどの程度貢献したかとか「アイヌ幼稚園」の詳細は今後の課題である。
(参考)「勤労女学校や印刷学校も設立した希望社の後藤静香

日本エスペラント運動人名事典

日本エスペラント運動人名事典

*1:残りの部は、会計部、地方部、出版部、印刷部、救護部、盲人部、庶務部。なお、部の他に(記念劵)、(夜学)、(検定)も記されている。