講談社をスピンアウトしたメンバーが創立した満洲雑誌社の東京支社にいた野間清三が大陸講談社名で発行した『ますらを』については、「大陸講談社の『ますらを』と満洲雑誌社の『満洲良男』」で詳しく紹介したところである。この『ますらを』の編集者海津良彦なる人物が『山本周五郎戦中日記』(角川春樹事務所、平成23年12月) に出てくる。
(昭和十七年)
六月一日 晴
早朝省児来る、午後「ますらを」より海津良彦来る、原稿督促也、曹洞禅家の子、なまぐさたらんとして未足らざる青年。(略)
『おさん』(新潮文庫、昭和45年10月)の解説(木村久邇典)によると、山本の「青竹」は『ますらを』昭和17年9月号に掲載されたというので、日記中で督促された作品は「青竹」かもしれない。海津は『年表・資料講談社の100年』(講談社、平成22年1月)の社員名簿によると、昭和12年講談社入社である。なお、もう一人編集者が日記に出てくる。
(昭和十七年)
五月二十日 雨
(略)「ますらを」の比翼来る、(略)
比翼については、不詳である。
- 作者: 山本周五郎
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2011/12
- メディア: 単行本
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