昭和14年4月23日〜25日京都駅前丸物(まるぶつ)で開催された展覧会の目録。モズブックス出品で800円。表紙に「博多箱崎八幡宮の板郵便」の写真付き。冒頭に中山香橘の一文がある。
旅に出て油然と起る、感興を友がきにつたへるものに、その土地/\の景物を象徴して作られた、情趣豊かな絵馬郵便がある。(略)茲に各地より届きし、懐かしい板郵便の数々を列べて、ありし日の旅の追憶をともに辿ることもまた意義あることゝ想ふ。
全然知らなかったが、絵馬の絵葉書版みたいなものか。目録には、北は青森から南は鹿児島まで、その他台湾、朝鮮、満洲も含めて、150枚ほどの板郵便について、県名、消印の局名、図案が記載されている。また、33名・団体の寄贈者芳名も挙がっていて、中山が謝辞をのべている。
東京・・・武藤喜邦、松田昇太郎、鈴木祥湖、鈴木凡太郎、趣好会
名古屋・・・加藤春楼、松岡香一路、浜島静波、鈴木鼓堂、村手春風、大路善次郎、郷玩軍
冨田・・・伊藤蝠堂
大阪・・・伊藤趣好楽、笠原佳月、田中亀文、梅谷紫翠、村松百兎庵、芳本倉太郎、やつで会
西宮・・・永井大半
神戸・・・松村北摂、小林政雄、松房晩翠、石原栖史、松井蛙声
福岡・・・梅林新市
高知・・・岩原文男
満洲・・・浅田耕一郎
京都・・・西沢敏夫、木村忠三郎、神楽、藤井好浪
知らないコレクターばかりだが、神楽、藤井については、中山とともにみやび会のメンバーで「昭和14年京都のみやび会に結集した10人のコレクター群像」を参照されたい。そこにも書いたが、同じ期間に同じ場所で「みやび会同人蒐集展覧会」が開催されている。『京都寸葉』47号(京都寸葉会、昭和14年6月)は「みやび会同人蒐集展記念号」だが、その「主なる出品物紹介」には「中山香橘ーー趣味の板郵便、変形、絵馬形、長方形のもの百五十余点」とあり、本目録記載の出品数と一致する。どうやら、本書は、「みやび会同人蒐集展覧会」のうち中山出品分の目録だったようだ。