神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『記念俚謡会宿題地巻:東京俚謡会創始三周年記念兼深澤銀扇先生謝恩』(東京俚謡会、昭和10年9月)

臨川書店のバーゲンで100円だったか。表紙に「左右先生選」、見返しには

宿題『三、週(周)、年、記、念、深、澤、銀、扇』
総数 七百七十七章
選抜章数 二十八章
天。地。人。五客。秀逸二十章
軸吟 一章
右に依り御選抜の程希上候
扱所 東京市麻布区飯倉片町七(名倉方)

「左右」は手書きで読めなかったのだが、twitterで話題にしたら御教示いただいた。本書は、選抜を依頼された左右先生が、選抜に使ったようで、選んだ作品に書き込みがあった。「東京俚謡会」とはナンダロウと思って買ってみたのだが、結局わからなかった。「俚謡」とは、ここでは都々逸のことのようで、左右先生が選んだ天地人の作品は、

天 戀の花櫛吉三の膝に落ちて深める寺の秋
地 銀杏返に結ひ戻されて秋を淋しく流し三味
人 男三十前や氣まぐれ砧力餘れど上調子

本書には「秋田大学附属図書館蔵書印」が押されている。秋田大学は昭和24年設立なので、昭和10年の東京の都々逸の本を収蔵するというのは、寄贈を受けたのか、図書館設置に当たり、古本屋に何でもいいから本を集めてくれと頼んだのかと想像している。