神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

意外と役に立つかも『小田原文芸案内』(小田原文芸愛好会、1989年5月)

昨年神保町古書モールで購入。「つん堂」氏の棚だったと思う。装丁が観光ガイドみたいな感じで、均一台にあっても拾いそうもない本だが、実は前から探していた本である。いくら調べてもわからなかった津田光造の没年が、「津田光造の没年が不明だ」で大竹功氏からいただいたコメントによると、この本に書いてあるということであった。で、本書を見てみると、大正期に活躍した文芸人として辻村伊助、福田正夫、井上康文、加藤一夫辻潤、中田信子、大木惇夫らと共に津田も紹介されいて、確かに昭和31年喉頭癌で死去とある。執筆者は宇佐美ミサ子氏である。最後に消息が確認できた昭和29年11月から1、2年で亡くなっていたことになる。
本書のまえがきは、1969年まで小田原市立図書館長を務めた石井富之助が書いている上に、石井自身も昭和戦後に活躍した文芸人の一人として取り上げられている。「石井富之助独特の図書館論は、今なお燦然と輝いている」とある。「今なお燦然と輝いている」かどうかは誰ぞに聞かんとわからんが、小田原出身や小田原にゆかりのある文芸人の来歴や事績を調べるのに意外と役に立つかもしれない一冊である。