神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

久米龍川主宰『郷土風景』2巻5号第二玩具号(郷土風景社、昭和8年5月号)

時々見かける雑誌だが今回300円だったので初めて購入。多分サンボーホールの古本まつりだったと思う。表紙に「主宰久米龍川」、奥付の編輯兼発行人兼印刷人は谷川要史。「前号発禁報告(諸国花街号)」が載っていて、

創刊以来発禁といふ前科をもたぬ本誌も、四月の諸国花街号は、新聞紙法第三十条に依り、風俗を害するとの理由に依り、発売頒布の禁止と共に、悉く差押への浮目を嘗めるに至りました。無論損害は甚大であります。吾々の如き貧乏人にとつては、手も足も出ない程のお灸でありますが、本誌愛好家の方々から、毎日の如き御声援によつて、勇気づけられて居ります。殊に花街風景方面の材料は、内容的に充分取揃てあります。特別号のみにても、二年三年は続かうかと云ふ程。ストツクぶりの盛況さであります。何卒第二花街特輯号に御注目願ひ上げます。

とある。これを読むと、発禁処分を受けて反省していると言うより、焼け太りというか、発禁処分を逆手に取って、次回の宣伝材料に使う商魂のたくましさを感じる。なお、諸国花街号の発行日は昭和8年4月1日、処分日は同月8日である。
本号の執筆者は未知の人ばかりで、「日本人形二筋道」の山田徳兵衛ぐらいしか知らない。「第十回新しい玩具座談会」には、人形研究家西沢笛畝、人形製作者山田・平田郷陽・斎藤徳太郎、郷土風景社久米龍川が出席。座談会の最後の頁の空きスペースに編集部の「怪人物の写真を募る」という案内が載っていて面白い。怪人物特集号は出たであろうか。
「玩具蒐集家名簿(二)」も載っていて、第一回郷土玩具号に登載漏れの愛玩家を掲げたという。32名載っているが愛書家とは重ならないのか、知らない人ばかりであった。