神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

均一パトロールで林若樹『集古随筆』を

山本善行さんが自身の古書店を始めてからもう6年。店があるので、昔のように京都市古書店の均一台のチェックはできないようだ。そこで、誰にも頼まれたわけではないが、わしが代わって均一台のパトロールをすることにした。さっそく、京阪書房の均一台で拾いました、林若樹『集古随筆』(大東出版社、昭和17年10月)。裸本だが、200円なのでホクホクぢゃ。もっとも、奥付に3000部とあるから割と転がってるのかな。
パラパラ見ると、「複製本の話ーー昭和四年十一月二日午後於早稲田大学演劇博物館為稀書複製会展覧会講演」中の「西村兼文」に赤線が引いてある。痕跡本だ。前後は、こういう一節である。

偽造と申せば偽造ですが、明治二十四五年頃まで生きて居りましたか、京都の西村兼文といふ人、これが非常に本の好な、鑑定の明るい人で、同時に今でも或一部には評判の悪い人です。この人が盛に偽書を作つた。(略)陶淵明の「帰去来賦」を摺つて、末に「大唐天祐二年秋九月八月」といふ年号を入れまして、一日のうちに知人のところを駈けずり廻つて、五円七円といふ、当時としては高い金を取つて売りつけました。(略)猶この西村といふ人は、偽板ではありませんけれども、古い経文にいゝ加減な年号を書入れたり、いろ/\悪いことをして居ります。

へえー、そんな人がいたんだ。ブログ「書物蔵」にも出てこない怪人だ。ウィキペディアに『新撰組始末記』の著者として立項されている人とは同一人物かどうか。200円でいいネタを拾えた。さて、けふも均一パトロールへ行ってきまーす(^_^)