神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

街の草で『大東亜圏日用語早ワカリ』(真日本社、昭和18年2月)

武庫川の「街の草」で500円。戦後ベストセラーとなった『日米会話手帳』が国会図書館にもないし、古書でも入手困難と聞いたことがあるので、本書もレア物かと思い、拾ってみた。形容詞、副詞、動詞など18分野の単語について、日本語・露西亜語・馬来語・印度語・泰語・仏語・支那語・英語を一覧にしたもの。18分野の中には、軍事もあって、時局を反映している。一覧表の他には、基礎会話、五十音ローマ字表、愛国百人一首、朗吟名詩も付いている。大阪商科大学教授浅香末起監修、元東北学院教授徳島直毅・元海軍省通訳官榎原延吉共編。189頁、横長の小型本(縦9cm、横12.8cm)。
ところで、検索すると、不思議なことに気付く。国会図書館が杉武志・矢島鷹尾・大西達朗編『大東亜共栄圏日用語早ワカリ』(国防同志会、昭和17年)なる本を所蔵している。155頁、13cm×19cm。タイトルが微妙に異なるほか、編者も大きさも異なる。目次を比較すると、単語の18分類の順番は異なるが、内容は一致している。「愛国百人一首」と「朗吟名詩」がない代わりに、「大東亜戦争の意義」がある。国防同志会から発行した翌年に、別の出版社から編者名を変えて、「愛国百人一首」と「朗吟名詩」を付加して発行したと思われる。なんかあやすーぃ本である。国防同志会版は幾つかの大学図書館も所蔵しているが、真日本社版は図書館には無いようだ。もっとも、検索するとネット上では風船舎等で取り扱ったことがあるようだ。
追記:国防同志会版は蒙古語、西班牙語、和蘭語が入り、露西亜語がなく、真日本社版とは別内容のようだ。