神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

吉岡書店で西魯人訳『性法説約』を

吉岡書店で『性法説約』なる本を発見。47頁の小冊子。表紙に「禁賣買」とあって、あやすーぃと思って中を見ると、真面目な本であった。さういへば、「性法」って「自然法」のことだったと思い出す(^_^;)
旧字・旧かなで戦前の発行とわかるが、奥付がない。さほど古い本には見えないが、非売品の小冊子が好きなオタどん、500円なので買って帰る。検索すると、西魯人は西周で、本書は、そこそこ貴重な本のようだ。斎籐毅『明治のことば』(講談社、昭和52年11月)には、西周『性法説約』(高田義甫、明治12年)について、

本書は紛失したと伝えられていた右の『性法口訣』に手を加えたものと考えられ、公刊されたがどうかながいあいだ疑問視されていたものであるが、最近、国立国会図書館の未整理本のなかから発見された。二本あり、一本は「禁売買」とあり奥付がないが、他の一本は標記のとおりの出版事項の記載があり、定価十銭とある。内容は両者まったく同じである。

とある。なるほど、二種類あるうちの前者をわしが入手したようだ。「内容は両者まったく同じ」というが、ネットで見られる国会図書館本(「東京図書館蔵書之印」あり)には正誤表があるが、本書にはない。目次及び本文は同内容である。その他、表紙の装丁が異なる。本書が縦に三段の欄があり、右欄は空白、中欄に「性法説約 單」、左欄に「禁賣買」と印刷され、全体に緑色であるのに対し、国会図書館本は左端に「性法説約 單」と題僉が貼られているようで、色は不明。大きさは、本書が縦12.5cm、横9.5cmで、国会図書館本は13cmとあるから、概ね同じ大きさだろう。なお、本書と同じ版は、同志社大学名古屋大学が所蔵している。
このような貴重な本が転がっているとは、さすが京大近くの吉岡書店だ。旧蔵者も京大の先生かもしれない。
なお、金子一郎「西魯人(西周)謹訳「性法説約」の発見」『日本古書通信』昭和44年2月号があるようだが、未見。