神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

鈴木二郎編『田中正造翁日記抄』(羊門文庫、昭和13年9月)

弁天町ORC200の古本まつりの100円均一コーナーで「ぶんさい」出品。
見慣れない戦前の文庫だけど、田中正造の日記なら全集に収録されているからやめとこうかと思いつつ、発行所の羊門社と発売所の一粒社が東京でなく名古屋なので、珍しいなあと購入。
「羊門」は、新約聖書ヨハネ伝十章「まことに誠に汝らに告ぐ、我は羊の門なり」からとられている。発行者は、名古屋市中区流川町20番地の横井秀子。「Web NDL Authorities」によると、1901年生、1999年没。典拠は、横井久編『白百合:いばらの中にゆりの花:故横井秀子10周年記念誌』(イエスの言社、2009年)。
羊門文庫には、12番の本書のほか、10番の大庭柯公『柯公随筆』、18番の『新井奥邃日訓』など少なくとも20冊刊行されている。国会図書館が3番から19番までと、何故か番号がないがアンドリユー・マーレー、横井一粒子訳『ヘブル書講義』を所蔵している。なお、同図書館が所蔵する羊門社出版部が昭和12年に発行した井乃春樹『幸福の書』とヘンリー・モンテーグ・バツトラー、横井憲太郎訳『ジヨン・ウエスレー』はOPACに「羊門文庫」の表示がないが、本書巻末の11冊の「羊門文庫」一覧に含まれている。
ちなみに、『出版文化人物事典』に一粒社創業者として横井憲太郎が立項されている。それによると、大正13年1月一粒社を創業、自家印刷を開始。更に出版部門では基督教関係専門書を発行。昭和9年11月読書家書物業界向け月刊タブロイド誌『書物新聞』等を発行。