神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

純研究蒐集趣味誌『京都寸葉』創刊号(京都寸葉会、昭和11年9月)

『交蒐』を拾った後、大阪古書会館に行くと、何やら裸本にグラシン紙が巻かれ、背表紙のタイトルが読めない本が二冊。念のため中を見ると、「純研究蒐集趣味誌」の文字が!にゃんと、『京都寸葉』の創刊号からの合冊版ではないか。隣の本を見ると、こちらも続きの合冊版。値段を見ると、一冊300円(^_^)一桁違いますな。
帰って点検してみると揃いではなかったが、それでも掘り出し物であった。一冊目は創刊号、4ー19、21ー27、29ー30のほか、一枚物の臨時号・号外が8号。二冊目は31ー60(昭和15年6月)のほか、号外が9号。二冊とも「旭川古書のまち」のラベルが貼ってあった。創刊号の内容は、

創刊の辞
創刊を祝して 鷲見東一
趣味界雑記帳 武田修
"京都寸葉"創刊の祝詞に替へて 蒐集趣味界を横から見る 松山多緑
祝「京都寸葉」誌 伊藤喜久男
記葉本義の一転化 藤井栄次郎
風景切手帖とは? 武田修
風景印と郵便局 田中緑紅
山国の風景スタンプ異変 溝口慶三郎
ある局長さんの便り 武田修
暑中御見舞交換会について 武田修
趣味寸感 黒白道
瀬戸内海国立公園巡遊記(上) 武田修
京都寸葉会会報

編集発行人は京都市上京区朝日通烏丸東入下ル東入の武田修。武田は、47号、昭和14年6月の自己紹介によると、明治37年奈良県生、大阪商大卒、大毎(大阪毎日新聞)記者。武田が書いたと思われる創刊の辞によると、蒐集趣味雑誌界の権威とされていた蒲原数人の『交蒐』の休刊、一風変わった編集ぶりで誕生日尚浅しとはいえ一方に重きをなした稲田清之助の『旅行と趣味』の廃刊という東西に起きた二つの趣味誌界の異変の中で、京都の趣味家団体として多少は知られてきた京都寸葉会が趣味誌の発刊を企図した次第だという。偶然とはいえ、『交蒐』に続いて『京都寸葉』を拾うとは、「古本シンクロニシティ」かのう。