藤元氏の上記論考を読む。副題は、「オキュパイド・トウキョウを震撼させた夜/占領軍放送AFRS・WVTR局のフェイク報道をめぐって」。1947年5月29日占領下の日本で東京湾に上陸した謎の怪獣が市街地に侵入、米軍と交戦するという米軍のラジオ放送が流された。実際は、1938年のオーソン・ウエルズによる火星人襲来のラジオ・ドラマ同様虚構であった。最近の研究によれば、ウエルズの放送により大パニックが起きたという神話については、見直しが始まっているという。一方、日本の放送の方も、パニックが起きたとするものと起きてないとするものがあるということで、今後の研究の深化がまたれる。さて、この放送が1954年公開のゴジラの成立に影響を与えたかどうかについても、直接的な証拠は無いようである。この点も今後の研究がまたれるところである。
なお、佐藤卓己先生の「「メディア流言」の時代 第一回「火星人襲来」から始まった?」への言及もあり。