知恩寺の古本まつりで三密堂200円。背と表紙の一部が欠け、数ヶ所に線引きがあるが、それでも安い。実は、明治38年9月13版は相当昔に購入して持っている。数千円したと思う。両者を比較してみると、前者の120頁から129頁まで「附説」として、第二編精神論、第三編宗教論の構成を示し、少し訳があるので第壱編の外は暫時公表を見合わすとあるが、その後の第二編、第三編の刊行に伴い、後者では削除されている。第二編は未入手なので、どこかに格安で落ちてないかなあ。
井村宏次先生が『迷宮』3号、昭和55年7月の「近代日本異端医療の系譜ーー維新以後の霊術家の饗宴」で桑原の死について、「敢えて想像すれば、観念力で病気が治るものならば、観念力で病気を造ることもできる。桑原はそれを実験し、そして死を喜んで迎えたのであろう」と書いた一節はよく記憶に残っている。静岡市清水山公園にある弟子の岸本一念が建立した師を顕彰する「霊術之碑」も見てみたいなあ。