神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

新発見・井上円了『妖怪学』一心社出版部版

新編妖怪叢書(国書刊行会)の解説である板倉聖宣『妖怪博士・円了と妖怪学の展開』(昭和六十一年四月第二刷)によると、井上円了の主著『妖怪学講義』の大鐙閣版(大正十一年九月ー十二年二月)四巻本を使った怪しげな本として、山洞書院版(昭和六年二月)、荘文社版(昭和七年十月)、巧人社版(昭和八年九月)の三種類がある。いずれも新版としての序文がない上、原書名を勝手に『妖怪学』と変えているという。
さて、私は第四の怪しげな『妖怪学』を持っている。昭和七年十月一心社出版部(東京市神田区三崎町一丁目十四番地)発行である。「妖怪学著書論文目録」(『井上円了妖怪学全集』第六巻)にも記載がないので、東洋大学の研究者も未見と思われる。入手したのは、黒谷の金戒光明寺の古本祭りであった。