神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

世界紅卍字会員の今小路了円

真崎甚三郎の日記には、世界紅卍字会の関係者が数名出てくるが、今小路了円という坊さんも出てきた。

昭和14年12月15日 桑野淳城、今小路了円十三時半に来訪、桑野は天津本派本願寺の主任にして田代夫人の紹介による者、今小路は紅卍字会の会員にして前者の伴ひ来りし者なり。単なる初回の訪問なりしも、痛く僧侶及軍人の腐敗惰[堕]落を慨嘆せり。

注:[ ]は、校訂者による註記。カタカナをひらがなに改めた。

今小路は、野依秀市の仏教思想普及協会から昭和15年10月に刊行された『前進仏教 日本仏教の再出発』に「支那を席捲せんとする世界紅卍字会」と「新東亜圏の建設とラマ教」を書いていて、肩書きは「世界紅卍字会員」である。明治37年5月4日付東京朝日新聞の「本派本山の処分」という記事によると、福井県正立寺の僧侶だが僧籍を剥奪されている。大正12年10月には、真宗自彊会から『僕の体験せる信仰と健康』を刊行しており、一時期自彊術にはまっていたようだ。

また、昭和14年12月2日付の某紙の記事によると、僧籍が回復されたようで、本派本願寺北京駐在員の今小路が、紅卍字会の道院での修行を終え、同月1日本多執行長、藤井、梅原両執行らに報告したという。同紙には、今小路の次のような談話も記載されている。

紅卍字社の道院に真正面から身を投じて真正の会員となつたのは北京では僕一人です、他に内地人で本当の修行の段階を踏んで行つた人は三人ある、それは大使館の林一等書記官と今一人は新民報の主事篁白陽君と僕で他の両君は満洲産だヨ

篁が道院で修行したとか、新民報の主事だっというのは新知見である。「新民報」とは北京で発行されていた同名の華文紙だろうか。社長の武田南陽もあやす〜ぃ人物である。「剣山に隠されたソロモン王の秘宝をめぐる怪しい人達(その1)」(2007年4月4日)参照。
今小路という坊さん、詳しい経歴は不明だが、今後とも要注意の人物だ。

(参考)「世界紅卍字会後援会でポルターガイスト現象」(7月15日