神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

和田博文『資生堂という文化装置 1872−1945』(岩波書店)への補足

田中貴子先生が今日の朝日に和田博文『資生堂という文化装置 1872−1945』(岩波書店)の書評を書かれた。本書をほめる人が多いだろうから、あえて注文を一、二。和田氏は知っていて書いていない気もするが、
・129頁『資生堂月報』昭和2年5月号「「断髪」特輯」に「断髪礼讃」を書いた根津松子はのちの谷崎潤一郎夫人だろう。
・314頁松崎天民『東京食べある記』で松崎を神楽坂の田原屋に連れていった北澤秀一こそ、第二章「モダンガールと職業婦人 資生堂化粧品部」でテーマとなるモダンガールという言葉を日本で最初に使用した人物である(2010年11月13日参照)。

以上は補足。以下、興味深かったのは、
・74頁にロンドンのデパート、セルフリッジ前で撮影された久米正雄夫妻とパリ在住の長岡輝子の写真(『アサヒグラフ昭和5年3月19日号)。長岡は小谷野敦久米正雄伝』には出てこなかったが、女優・演出家のようだ。
・370頁に「舞踏家田澤千代子さんに訊く 巴里女性の美容と服装の話」(『花椿昭和14年5月号)。田澤は神保町にあった名曲喫茶田澤画房の看板娘だった(5月3日2010年10月22日参照)。

資生堂という文化装置 1872-1945

資生堂という文化装置 1872-1945

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芸術新聞社刊『「絵のある」岩波文庫への招待』刊行記念
坂崎重盛さん×林哲夫さん トーク&サイン会

■開催日時:6月12日(日)14:00〜
■場所:ジュンク堂書店大阪本店3階喫茶コーナー
■定員:40名
http://www.junkudo.co.jp/tenpo/shop-osaka.html#talk

大阪本店にて『「絵のある」岩波文庫への招待』をお買い上げの方に整理券をお渡しします。
(既にお持ちの方もご参加いただけます)
電話でのご予約も受付いたします。

トーク終了後、坂崎重盛さんのサイン会となります。

◆プロフィール◆
坂崎重盛(さかざき・しげもり)
1942年東京生まれ。千葉大学造園学科で造園学と風景計画を専攻。卒業後、横浜市計画局に勤務。退職後、編集者、随文家に。 著書に『神保町「二階世界」巡リ及ビ其ノ他』(平凡社)、『東京文芸散歩』(角川文庫)、『東京読書』『東京本遊覧記』(晶文社)、『東京煮込み横丁評判記』(光文社知恵の森文庫)、『東京下町おもかげ散歩』(グラフ社)、『TOKYO老舗・古町・お忍び散歩』(朝日文庫)、『「秘めごと」礼賛』(文春新書)、『一葉からはじめる東京町歩き』(実業之日本社)、『超隠居術』(ハルキ文庫)、『蒐集する猿』(ちくま文庫)などがある。俳号は「露骨」。

林哲夫(はやし・てつお)
1955年香川県生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。画家、装丁家、ライター。 1979〜80年渡欧し、英仏に滞在。本業の画家のほか、本や雑誌の装丁を手掛ける。古書愛好家であり、エッセイスト・評論家としても活躍。 書物同人誌『ARE』(1994〜98年)、『sumus』(1999年〜)を編集。著書に『古本デッサン帳』『古本スケッチ帳』(青弓社)、『文字力100』(みずのわ出版)、『歸らざる風景―林哲夫美術論集』『読む人』(みずのわ出版)、『古本屋を怒らせる方法』(白水社)、『喫茶店の時代』(編集工房ノア、第15回尾崎秀樹記念大衆文学研究賞受賞)などがある。

お問い合わせ先 ジュンク堂書店大阪本店 電話:06-4799-1090

「絵のある」岩波文庫への招待

「絵のある」岩波文庫への招待