非売品の『読書のすすめ』第15集(岩波書店、2011年5月)が出た。目次は、
三次元の読書へ 赤川次郎
『論語』−−素人の読み方 一海知義
「本読まず」による古典のススメ 玄田有史
父の掌 末木文美士
赤帯から青帯、そして黄帯へ 竹内敬人
岩波文庫あれこれ 富岡多惠子
悲願・岩波文庫全巻読破 久間十義
わたしのチェーホフ 松下裕
あとがき
このうち、末木の「父の掌」によると、
僕が生まれた頃、父剛博は電気通信大学に勤めていた。その後、新生間もない駒場の東京大学教養学部に移った。父は最初スピノザから出発したが、その後、いちはやく日本に論理実証主義や分析哲学を紹介し、記号論理学を導入した。これが父の第一の功績だろう。(略)
もう一つの仕事は比較思想の面で、駒場の大学院に新しくできた比較思想の講座を担当し、科学哲学と兼任した。駒場の比較思想の基礎を作ったのは川田熊太郎であるが、父はその後を受けて、この新しい学問の開拓に情熱を燃やした。
(略)
八王子の書庫を作るとき、大工さんが、「学者の書庫もだいぶ作ってきて、蔵書を見れば何の専門か大体分かるが、お宅はさっぱり分からない」と嘆いていたが、それほど何にでも関心を持っていた。
父、末木剛博という人はすごい人だなあ。