黒岩比佐子さんの遺稿となった「歴史と人間を描く」が9日から『西日本新聞』で連載を開始した。第1回は「肩書」。井上孝治さんの写真も掲載され、10回分が予定されている。「著者のことば」によると、
この連載では評伝を書こうと思ったきっかけから、評伝執筆に不可欠な時代背景としての「歴史」や、「記憶と記録」の意味にも触れつつ、評伝の魅力について自由に語っていくつもりです。
第1回の内容は、70代以上の友人が多いという中でも、最高齢の大正4年生まれのむのたけじさんの話から始まる。ノンフィクションという言葉は、フィクションではないと言っているにすぎず、ほとんど意味がないから、ノンフィクションライターよりヒストリーライターと名乗る方がいいと言われたという。「自信をもって言えるのは、「人間を描きたい」ということだ。人間ほど面白いものが他にあるだろうか」と結んでいる黒岩さんだが、見出しには「評伝の魅力 もっともっと語りたかった」とあり泣かされる。
2009年*1には次のようなコメントをいただいているが、自分の方が先に亡くなるとは、夢にも思っていなかったはずだ。
2009/09/05 20:43
8月は読売新聞の読書委員の方々が多忙だったため(海外出張のためなどで)、ずっと国内にいた私に出番が多く回ってきました。むのたけじさんとは、ときどきお電話で話していますが、お元気です。94歳です!
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第2回は「歴史」。数年前、発見した小学校の通信簿の束の話*2から始まる。四年生の一学期の「担任の意見」欄に「地震がきても、本だけははなさない」と書かれていて、驚いたという。今回は、「人物評伝がその人物のすべてを書けないのと同様に、歴史もまた一部の人間によって、意図的に作られてきたものである」との一文が印象的。