神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

高橋巌と網野善彦

『春秋』2・3月号所収の高橋巌「無縁社会の中で」で、高橋氏は、1950年代の後半、学生生活を送りながら、自分の意識が少しも変化してくれないことに違和感を感じ、また、どうしようもない孤独感にさいなまれていたという。そして、

その頃の一時期、都立北園高校の夜間部で非常勤職員として世界史を担当していたが、日本史を担当していたのが網野善彦氏だった。今でも忘れられぬくらい、すてきな雰囲気をもっている先生だった。あの頃網野史学のキーワードとなる「無縁」について語り合えたら、私のその後の人生は変わっていたかもしれないが、「無縁」という言葉も知らなかったし、通じ合えそうな言葉をそもそも持ち合わせていなかった。

高橋は、1950年代後半慶應義塾大学文学部の大学院生であった。57年に「ゲーテニーチェとヘッセの国ドイツ」へ行き、ルドルフ・シュタイナーの思想に出会うことになる。