昔「三銭均一食道楽おとわ亭」、今「キッチンジロー」（その３）

PsychomPsychoさん（http://twitter.com/PsychomPsycho）が確認してくれた*1　おとわ亭の所在地だが、戦前の地図でも確認できた。『コレクション・モダン13』（ゆまに書房）で復刻された白木正光編『大東京うまいもの食べあるき記』（丸ノ内出版社、昭和8年4月初版、同年5月再版）所収の「神田神保町界隈」という、神保町界隈の飲食店地図に載っていた。確かに、現在キッチンジロー南神保町店がある位置だ。また、同書の解説には、

おとわ亭−−モーリの奥にある古い家で、もとはミルクホールに毛の生えた位の大衆的な西洋料理屋でしたが、今日のように一品洋食の盛んでなかつた時代だけに、大変評判になつて、お昼の時間など、学生連で押すな押すなの繁昌、丸の内からわざわざ試食に出かける程でした。その後洋食堂が盛んに出来、殊にモーリなどが、ハイカラな店構へで、十銭の鰻まん、肉まんを食べさせると云つた風ですから、昔程には騒がれませんが、しかし主婦（おかみ）さんの熱心と、昔ながらの勉強で相変らず客を呼んでゐます。

「モーリ」は、今の「紅とん神田神保町店」のところにあった食堂で、丸ビル地下や新宿にもあった。おとわ亭のライバルだったようだ。