神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

神田小川町の喫茶店「ヴェルダ・ステロ」

柴田巌『中垣虎児郎 日中エスペラントの師』(リベーロイ社、2010年5月)にエスペランチストによる喫茶店が出てくる。

(略)大正から昭和へと時代が変わった頃、兄龍太郎が結婚を機に船員を辞めて上京、神田・小川町に喫茶店を開くことになった。虎次郎はこの店を、エスペラントで「緑の星」を意味する「ヴェルダ・ステロ」と命名、末妹ヤヨと二人で兄を守り立てた。(略)店はメニューもエスペラントで書かれ、当初はもの珍しさもあって繁盛。上京以来の中垣の経済的苦境も一時的に救われたものの、なにしろ素人商売ゆえ長続きはしなかった。閉店後、中垣は柏木ロンドでエスペラントに磨きをかけるかたわら、「改造社」で校正の仕事をしながら糊口をしのいだ。

柴田は、中垣が改造社に雇われるようになったのは、同社で編集をしていた友人の比嘉春潮が窮状を見かねたものだったと推測している。なお、比嘉が改造社に勤めていたのは、大正12年から昭和7年までである。