荷風の『断腸亭日乗』は索引があるので「自笑軒」を引くと、載っていた。昭和3年2月26日の条には、駿河台の市川左団次(松莚)邸で開かれた例会に、荷風のほか、小山内薫、岡鬼太郎、池田大伍、川尻清潭が出席し、すっぽんの吸物、烏賊のさしみ、新芋に蕗の煮附、茶碗むし、茄子小海老の揚物、鳥の雉子焼、鰻の蒲焼を田端の自笑軒から出前にとったことが書かれている。また、11年11月15日の条には、
薄暮巌谷撫象君来訪。故冬生君の令息を紹介せらる。出版業を開く計画ありとて、田端自笑軒に赴き晩餐を馳走せらる。
とある。巌谷撫象は、巌谷小波の長男槇一(本名・三一)、冬生は小波の末弟。なお、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館では、「二世 市川左團次展−生誕130年・没後70年によせて−」展を今月19日(火)〜12月5日(日)まで開催。
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北村巌『金子喜一とその時代』によると、金子とジョセフィン・コンガーが明治40年6月にシカゴで創刊した『ソーシアリスト・ウーマン』に、パナマ在住の“あおやま”からの手紙が載っているという。これは、パナマ運河建設で測量技師や設計技師を務めた青山士ではなかろうか。荒川知水資料館の青山のコーナーは見に行きました。
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今日は3時から東京堂書店で、黒岩さんの『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)刊行記念の講演会。天気も秋晴れのようだ。がんばってください。
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『神保町が好きだ!』4号所収の座談会「古書はもちろん神保町」(出席者:かげろう文庫・佐藤龍、山田書店・山田浩一、小宮山書店・小宮山慶太、小林書房・小林光寿、司会・鷲尾賢也)に、神田古書店連盟『神保町公式ガイド Vol.1』について、
佐藤 いちばん大きいのは八〇店舗全員の顔写真が載っていることです。店の代表の写真です。偏屈な人が多いでしょう。絶対に撮らせないとかいうので、撮るのに苦労していました。
鷲尾 それが売りね。古書店主の顔をというのはこういう顔をしているというのがわかるわけね。
佐藤 そうです。初めて載る人がいっぱいいます。いままでいろいろな取材があってもすべて断ってきたという人たちを、僕らだったら撮れるかなというので。
とあった。そうか偏屈な人が多かったのか・・・