久米正雄が昭和4年パリに到着した時のことを書いた「モン・アミ」に出てくる人物の正体を探求してみよう。
画家
・医師で画家を兼ねているM君・・・慶應医学部卒の宮田重雄
・有名な実業家で喜劇作者を兼ねている父を持つY君・・・不明
・二科会の中堅で、風格掬すべきH君・・・不明
・勉強家で仲間でも将来を畏れられているI君・・・伊藤廉?
・篤実で談話のうまいS君・・・佐分眞?
・温和しいK君・・・不明
画家以外
・フランス絵画の蒐集家として、巴里の画会でも殆ど名を知らぬ者はないF氏・・・不明
・北大教授(ママ)で、ソルボンヌへ通うよりも、アカデミーのクロワキに通う方が面白いというO君・・・北大医学部助教授の岡田正夫
・元は好事家のピアニストのK君・・・不明
それと肝心の主役の相澤八郎のモデルが不明。N−−洋画会の創立当時に有望を謳われた新進画家で、パトロンは鎌倉のM氏。渡仏してから五、六年以上になる。久米とは画学生時代に本郷辺のカフェーで知り合いになったという。
与えられた情報が少なく、不明の方が多い。
追記:石黒敬七『蚤の市』によると、石黒のルーマニア行きの送別会がパリの「ぼたんや」で開かれたが、久米夫妻、吉屋信子、藤蔭静枝、佐分眞、宮田重雄、益田義信、片岡角太郎、永瀬義郎、佐藤美子らが出席したという。
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『ちくま』10月号の林哲夫「ふるほんのほこり」は「勻香紙背」。「女子の古本者として名高いノンフィクション・ライターの黒岩比佐子さん」が登場。『古書の森 逍遙』に書かれている、東京古書会館で本来ならめぼしい本がないはずの午後二時過ぎに、黒岩さんが掘り出した署名入りの地下出版本の話。