明治期に発行された『東洋画報』(のち『近事画報』)については、黒岩比佐子さんの『編集者国木田独歩の時代』に詳しいが、大正期に発行された『西洋画報』という雑誌については、文献はないようだ。明治新聞雑誌文庫は所蔵しているようだが、さすがの黒岩さんも所蔵していないか。こういう画報があるのは、秋田雨雀日記によって初めて知った。
大正7年2月26日 横山有策君から西洋画報の原稿料五円をとどけてくれたので、たいへん助かった。
大正5年9月22日付東京朝日新聞の「文藝美術」によると、「西洋画報といふ月刊雑誌鷲尾正五郎伊藤素軒両氏の手にて十一月より発行さる発行所小石川白山御殿町一〇七」とある。また、同年11月6日付同紙広告には、西洋画報創刊として、「西洋社会生活のパノラマ」、「堂々たる世界的時事評論」のコピーが書かれ、発行所は「麹町区富士見町四ノ十一 西洋画報社」となっている。秋田が書いた号は、7年3月6日付同紙の広告によると、「ロシヤ号」で、秋田は「最近露国の世界語運動」を書いている。
秋田の日記に出てくる横山だが、英文学者の横山と同姓同名。その横山ならば、大正5年早稲田大学文学部英文科講師、7年教授だが、同一人物かどうかはなんとも言えない。なお、鷲尾正五郎は、明治44年2月12日付読売新聞に、「在ハーバード大学/マスター、オブ、アーツ」の肩書きで「本能生活と美的生活」を書いた人と同一人物か。伊藤素軒は画家ではないかと思われるが、不詳。
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