神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

022佐瀬得三『続々 当世活人画』(春陽堂、明治33年4月)への補足

引き続き古書の森を逍遙中。
タイトルの022は、『古書の森 逍遙』で紹介されている220冊の本に振られた書籍コード。220冊すべてへの補足はできないが、いくつかの古本について、補足を書いていこう。

佐瀬得三については、同書で明治43年4月『報知新聞』に美術記者として在籍していたことが示されている。『原敬関係文書第八巻』所収の「新聞社内状調 全 明治三十九年一月調」を見てみると、報知新聞の記者として、村井寛(村井弦斎の本名)や磯村春子とともに、佐瀬の名前がある。なんと、佐瀬には弦斎と同僚だった時期があるのだ。そうなると、佐瀬の書いた文章に弦斎について書いたものがあるかもしれない。

更に、同巻の「新聞社通信社一覧表 明治卅九年九月調査 警視廳」にも、同社の記者として、村井、佐瀬の名前がある。黒岩比佐子さんの推定によれば、弦斎は同年前半頃に同社を辞めているとされている。この一覧表を誤りと見るか、形式上弦斎に記者の肩書きが残されていたのか。黒岩さんに解いてもらわなければならない謎はまだまだ数多く残されている。

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東京古書会館における黒岩さんの展覧会は終わってしまいましたが、林哲夫画伯の「ちくま表紙画展」(渋谷のウィリアム モリス)は、明日・明後日まで(12:30〜18:30)。