神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

波屋書房と宇崎純一

大正十三年の時点で、難波河原町にあった波屋書房については、宇崎純一(ウザキ,スミカズ)の弟祥二が実際の経営者で、その後祥二は昭和4年に亡くなったという。この波屋書房の開業時期*1及びその後の状況が、『現代出版業大鑑』(昭和10年8月)*2で判明した。

波屋書房 宇崎純一 明治二十五年四月五日生*3大阪市浪速区河原町一の一五五六
兵庫県加東郡小野町の出身、少年時代絵画に志し独習よく斯道に上達、曽て神戸又新日報等のさし絵に才筆を揮つてゐた。その描き出される独特の柔らかな姿態は夢二ほど夢幻的ではないが、一種のセンチな性格があり、所謂「スミカズ」式を創造して当時の若人達の間に持て囃されたものである。また「スミカズ画集」「スミカズ絵葉書」等を家村文翫堂から出版し何れも嘖々の好評を博した。
大正七年、現在地に書籍店を開業したが、繁華街の好条件にも恵まれて小売店として市内でも有数の地盤を獲得した。尚割烹学校に教鞭を執り、美術を担任して十数年間其の職に在つたが今は辞し、書店経営の一切は同店に永年勤続の芝本参次氏(明治三十七年生)に委嘱し画壇の人として店務から遠ざかつてゐる。
芝本氏は店主宇崎氏の同郷、小野町の出身で、十六歳の時入店し、爾来家族同然の待遇を受けて来た。(略)

宇崎については、今月23日から大阪市立中央図書館で展覧会が開催される。

名 称:「大正ロマンの画家・スミカズの優しき世界」− 宇崎純一展 −
開催期間:2010年4月23日(金)〜5月5日(水)開館中
開催場所:大阪市立中央図書館・1階エントランスギャラリー (入場無料)
•月曜日〜金曜日
午前9時15分〜午後8時30分
•土曜日・日曜日・祝・休日
午前9時15分〜午後5時

展示内容:宇崎純一の作品(書籍・エハガキ・色紙等)

基調講演・フォーラム:5月5日(水) 午後2時〜
テ ー マ:「宇崎純一と大阪ミナミ」
基調講演:肥田晧三、林哲夫
パネリスト:橋爪節也・瀧克則・林哲夫  司会:井溪明
会 場:大阪市立中央図書館 5階大会議室

大阪市立中央図書館
〒550−0014 大阪市西区北堀江4−3−2
最寄駅:地下鉄千日前線長堀鶴見緑地線西長堀駅7号出口すぐ
問い合わせ:電話 06−6539−3326
ホームページ:http://www.oml.city.osaka.jp

                                  • -

赤城毅『書物狩人』(講談社文庫)。古書ミステリーらしい。
書物狩人 (講談社文庫)

*1:従来、大正8年又は9年とされている。

*2:復刻:『出版文化人名辞典』第3巻

*3:従来、明治22年4月11日生とされている。