神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

井上通泰から見た増田正雄


井上通泰の増田正雄評が久保田米斎の日記*1に出ている。

大正11年4月26日 此日南天荘先生より曩日会せし大阪の増田氏は商估に似す太た偉き人なるよしをきく 氏はもと信州松本の産、幼より独学にて英語を習得し少許の金をもちて大阪へ出てゝ商を初めしか遂に十数万円を得たり されは増田家の未亡人は氏の才幹に服して後続者とせり その家は五十万円も有する資産家なりしか未亡人歿せし時氏は一文をも自分のものとせす皆親属の人々に分ち与へたりき 而して又自個の力にて五六十万金の資産を作りしか去年の財界動揺の為め総て散したり されとも人々その才を惜しみ今は会社の重役なとなし居れりとて一見四十余歳に見ゆる痩形の人なるも実は三十余歳なりといふ 一時俗曲に熱中したる際それに伴ふ花柳街の遊もなせしか今はこれを廃し禅宗の人々の黒蹟類を集めて頗る蔵儲に富むといふ


南天荘先生」は井上のこと。増田については、既に明治23年生まれと判明している。なお、井上は信州の産としているが、事典類には東京生まれとある(一昨年4月11日参照)。宮内省怪文書事件の関係者(昨年8月10日)や反ユダヤ主義者として知られる増田が立志伝中の人物ともいうべき存在だったとは。


(参考)昨年12月14日

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朝日の連載「探嗅」は、常時40人近くのホームレスの人が「利用」するという大阪市立中央図書館の話から。ちなみに、同図書館は黒岩さんの『伝書鳩 もうひとつのIT』(文春新書)を技術・産業コーナーに分類している・・・


黒岩さんの新年のブログが始まって安心した。

*1:日本近代文学館年誌』5号